池田 徳彦先生のインタビュー
池田徳彦先生
短期的に、長期的に、
治療しつつ研究し、癌の本態を解明したい
国家試験に合格し、医師として外科系に進むか内科系に進むかというときには、「目に見えるものを取ってなくす」という外科の仕事のほうが自分に向いていると思い、外科系に行きました。その中でも「癌」が興味深いと思いました。例えば小さな癌で、治る方もおられれば、残念なことに割と早期に再発される方がおられる。「同じ大きさの癌なのに、違いがあるのはなぜだろう」ということに非常に興味を覚えました。目の前の治療をきちんとした上で、なぜそのような違いが起こるのかということも、毎日の診療と並行しながら解明していきたいと思いました。その両方と向き合って肺がんを専門に臨床と研究をつづけてきました。
がんが早期に見つかるようになったことで、治療は低侵襲に
30年での“がん医療”の進歩はめざましい
医師となって約35年ですが、昔は手術の傷が大きかったですね…。いまは非常に小さな傷で、場合によってはロボットで手術することもできます。その理由の一つは、非常に早期の癌が見つかるようになってきたということです。
昔は、症状が出て具合が悪くなってから病院を受診して病気が発見されることが多かったのですが、現在は人間ドックやがん検診で発見される比率が高くなってきました。以前より早期癌が見つかることが多くなって、治療も低侵襲になりました。振り返ると、病気と治療の変遷は非常に面白いと思います。
さらに、遺伝子の解析が可能になって癌の特徴がわかるようになり、その癌に対して非常に効果の高い薬を使う効率良い治療ができるようになりました。
こうした進歩を30年以上体験してきましたので、この先も“がん医療”がどのように進むのか、非常に興味があります。
治療の大きさによって、その後の人生も変わる
病気を早期に見つけることの意義を知ってほしい
一方、医師として皆様に望むことは、人間ドックや体のメンテナンスなどによって病気を早く見つけることに関心を持っていただきたいということです。
病気になる方は60代、70代以上の方が多いので、例えば肺の病気で受診された方でも、同時に心臓が悪かったり糖尿病があったり、一度に多くの病気が見つかるケースも少なくありません。何らかの形で予防医学に興味を持っていただければ、そうした病気も非常に軽い段階で見つけられることが多いので、治る可能性が高いです。また、治るのに昔ほど体の負担は大きくないのです。
癌はある程度コントロールできる病気だと考えていますが、大きい手術あるいは重い治療をしてコントロールするのか、それとも体への負担が小さい治療でコントロールするのかでは、その後の身体機能が変わってきます。もし小さい治療でコントロールされていれば、その後の何十年という生活は全く健常の人と同じ生活ができる人が多いですし、一方で、例えば胃を全部取りました、肺を片方取りましたとなると、もしかしたら生活が制限される麺も出てしまうかもしれないのです。なるべく元気に長生きしていただく方がいいのかな、と思っています。
人間ドックにも「個別化」という概念を
どの検査を選ぶか、重み付けをしていくことが重要
人間ドックは自分に合ったメニューを選ぶことが大切だと思います。例えば40歳なのか、70歳なのか、病気をしたからこれから体を大切にしたいと思って受けるのか…年齢や背景はそれぞれです。40歳でなりやすい病気と70歳でなりやすい病気は若干違います。通常の人間ドックメニューに加え、オプションでこういう検査を受けたほうがいい、というように、体のメンテナンスにも「個別化」という概念は重要だと思います。
年齢だけでなく、生活習慣も考えます。例えば営業の仕事が長いという方でしたら、糖尿病や胃腸の病気の可能性が高いかもしれない、肝臓の病気の可能性もあるかもしれない。「では、そのあたりは念入りにやりましょう」という医師の見立てが大切です。長くスポーツをされている方だと腰に負担がかかる方も多いですよね。「腰のMRIはやったほうがいいかもしれませんね」というケースもあります。その方に合わせて検査メニューをお勧めしたり、人間ドックに重み付け(必要度の評価)をしたりしていくことが重要と思います。
TOKYO FUTURE CLINICはお一人お一人の健康プランに合った最適なサポートを提供しており、個別化というニーズにしっかり対応できる医療機関であると思います。