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島原 佑介先生のインタビュー

島原佑介先生

循環器内科と連携し、
薬・カテーテル・手術を組み合わせた治療が重要

私は心臓血管外科医ですが、近年、循環器内科領域の薬の進歩がめざましく、非常に頼もしいと感じています。心臓の機能をなるべく維持させる薬など、どんどん良くなっていますね。また、カテーテル治療も急速に発展しています。当然、手術も進歩していますが、手術が終われば治療は終わりではありません。多くの方は手術が終われば、すべて大丈夫と思いがちですが、実際はそうではありません。手術前に薬を使用している人は多いですが、手術後も薬を続ける必要がある場合がほとんどです。カテーテル治療に関しても、手術前に行うこともあれば、手術後に必要となる場合もあります。以上から、心臓の病気に対し、薬・カテーテル治療・手術を組み合わせたコンビネーションの治療をしていくことが重要と考えています。私が所属する東京医科大学病院の心臓血管外科は、循環器内科と強力に連携し、チームを組んで治療に取り組んでいます。

心臓胸部大血管手術に関して言えば、昨今の薬やカテーテル治療の進歩・発展の裏で、これらの治療では十分な治療効果が得られない方が手術治療の対象となっています。そのため、以前に比べ、高齢の方や、複数の心臓血管疾患を持つ方 (同時に複数の心臓手術を必要とします)、心臓機能が低下している方、心臓以外の疾患を持つ方 (肺疾患、腎臓疾患、脳血管疾患、血液疾患など)などの重症な患者さん、つまり手術のリスクが高い患者さんが増加しています。さらに、時代の流れにより、なるべく小さな皮膚切開で行う心臓手術も求められます。この小さな傷で行う手術は、従来の胸骨正中切開による手術に比べ、難易度は難しくなります。このようなニーズに、心臓血管外科医は応えていく必要があります。

心臓血管外科医として「手術を極めたい」という思い
イメージした通りの手術を目指す

「外科医として人生を捧げよう」と本当の意味で思ったのは、医学部に入ったときではなく、時間が経ってからですね。医師になり、自分が真の意味で責任を持って若い医師たちと手術を任されるようになった10年目くらいに、この気持ちが確かなものになりました。医学部生のころは漠然と医師という仕事に興味を持っている感じで、勉強はギリギリ、むしろサッカー部の練習に明け暮れていました。ただ、当時から、やり始めたら極めたいというこだわりがあるので、現在は「手術、術前術後管理を極めたい」という気持ちが強いのでしょうね。

心臓の手術は難しく、極めようと思ったらキリがありません。そこが興味深いですし、魅力を感じます。
私は性格上、手術によって患者さんに合併症が起こってしまったり、自分が想定していなかったトラブルが起きてしまったりした場合に、このような結果の誘因を作った自分を許せないところがあります。現在でも、何が足りなかったのだろう…と、自問自答を繰り返す日々を送っています。イメージした通りの手術、術後経過を遂行できるよう準備することを心がけています。

そのためには技術を磨くトレーニングが重要となります。できるだけ手術中と同じセッティング、かつ手術中よりも難しいと思われる状況を作り、縫う(縫合)、結ぶ(結紮)などの練習をします。このような状況でトレーニングを行っていても、実際の手術ではもっと難しく、最初からイメージ通りにできることはありません。ですから、実際の手術とトレーニングを反復継続することが重要です。
このことは若手医師の指導にも反映させていますが、トレーニングの反復継続は、はっきり言って好きじゃないとできないです。自分の診療が終わったらトレーニングして、その都度手術の反省をして、またトレーニング、通常診療、緊急診療、知識向上のための勉強、学会活動、論文作成、上司からの仕事要請、若手の指導、コメディカルの指導、研究会、その他も多くの仕事があります。こんな生活をしていたら自分のプライベートの時間は無くなってしまいます。

家庭もあるし、休みも取らないといけないでしょうし、昨今は『働き方改革』も求められています。しかし、手術を受ける患者さんが「この先生はたくさんトレーニングと実践を積んで、すごく頑張って手術してくれるのだろう」と思ってくれていると思うと、「裏切るわけにはいかない」と思います。「手術本番で自分に負けたくない」という私自身の思いが、結果的に患者さんのためになっているのであれば、自分の時間はなくても良いと私は思っています。極めたいというのは、そういうことではないかと思います。

人と人との関係を築いたうえで手術に臨みたいから
患者さんと話すことを大切にしている

私は手術前も後も、患者さんに会って話すことを大切にしてきました。今の立場になってからはさらに仕事が増えて、なかなか患者さんと話す時間がとれなくなってきていますが、できるだけ会いに行くようにしています。人間ですので、顔を見て話をしないと愛着はわきません。手術説明も30分から1時間くらいかけて行い、患者さんの普段の生活などについてもお話を伺います。心臓胸部大血管手術は他の手術と比べリスクが高く、手術についてのシビアな話もします。このように、人と人との関係を築くことが、どんな厳しい手術でも自分は「逃げられない」「なんとかしなければならない」という治療に関する覚悟を持つことにつながっているのではないかと思います。

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