森信好先生のインタビュー
森 信好先生
「感染症は必ず治る」という信念のもと、
感染症専門の医師として人の命を守りたい
人の命に関わる仕事をしたいという思いから、医師を志しました。また、私は人とコミュニケーションをとることがとても好きで、患者さんと直接向き合いながら、その方や大切なご家族の健康を守る仕事ができたらと考えていました。病気は誰にでも起こり得るものだからこそ、一人ひとりに寄り添いながら最適な医療を提供したいと思っています。
海外で医師として働くことに興味があったため、医学生の間にアメリカの国家試験(USMLE)を受けて医師免許を取得しました。もともとは循環器内科を志し、人の生死に関わる医療の現場で仕事をしたいと考えていましたが、聖路加国際病院に入職し、「臨床感染症科」という分野の存在を知ったことで、その思いが変わりました。
感染症は年齢や性別を問わず、誰もがかかる可能性のある病気ですが、適切に早期発見・治療すれば救える病気です。当時の私のメンターだった先生は、「感染症は適切に治療すれば必ず治る」という信念を掲げており、その情熱に触れたことが、私が感染症に興味を抱く大きなきっかけとなりました。当時、この分野の専門家はまだ少なく、自分がその道に進むことで貢献できるのではないかと考え、感染症の専門医を志しました。
世界トップクラスのがん専門センターで
がんの感染症を学び、日本へ持ち帰る
免疫が低下している患者さんは非常に感染症にかかりやすい状態になります。とくにがんの患者さんですね。例えば、白血病で造血幹細胞移植を受けた患者さんは免疫が下がり、肺炎などの感染症を発症しやすくなります。また、カテーテルを使って治療を受けている患者さんは、カテーテル関連の感染症のリスクがあります。免疫が低下している方は、健康な方なら何ら問題ないような微生物でも感染症を引き起こすことがあり、中には非常に稀な感染症もありますね。
当時、日本では「がんの患者さんの感染症」に特化した分野が確立されていなかったため、私はその知識を深めるためにアメリカへ渡り、「MDアンダーソンがんセンター」で学びました。そして、「がんの患者さんの感染症診療」を体系的に習得し、日本に持ち帰りました。
がんの診断を受けること自体、患者さんにとっては大きなショックですよね。さらにそのがんの患者さんの主な死因の一つが感染症であるという現実があります。感染症にかかるとがん治療は中断を余儀なくされ、予後も悪化し、最悪の場合には命を落とすことにつながってしまいます。「がんの患者さんが感染症で命を落とすことをなくしたい」、その強い思いから、この分野を専門的に学び、臨床に活かしてきました。
患者さんにとって何がハッピーなのか
一緒に考えながら治療のゴールを探す
病気を治療するうえで大切なのは、病そのものだけでなく、その方の人生や背景を深く理解することです。家庭環境を含めた患者さんの背景を踏まえながら、「この方にとって何が一番ハッピーなのか」をいつも考えますね。とくに感染症の患者さんは、複数の基礎疾患を抱えていることが多いですから、一人ひとりにとって最適な治療のゴールは異なります。そのため、患者さんとともに最良のゴールを見つけ、話し合いながら治療方針を決めていくことを大切にしています。
感染症専門医として力を尽くした
新型コロナウイルスの感染拡大
実は、私は東京で新型コロナウイルス感染症の第1例目から診療に携わってきました。当時はまだ日本中が「コロナって何?」という状況で、未知の感染症への戸惑いが大きかったことを覚えています。
救急外来に来られた患者さんを診察したところ、典型的な新型コロナによる肺炎の症状でした。しかし、当時は誰も対応方法を知らず、確立された治療法もありませんでした。そのため、最初に感染防護服をフル装備してその患者さんのところに入っていくのは正直なところ少し緊張しました。しかし、聖路加国際病院では日頃から新興感染症に対する訓練を重ねていたため、チームとしてうまく対応できたと思います。
その後も、ダイヤモンド・プリンセス号の患者さんの受け入れを含め、チーム一丸となって診療にあたりました。最初の1年半は重症の方が多く、非常に厳しい状況が続きました。医療者の生活も一変し、これまでにない経験をした日々でしたが、それでも「目の前の患者さんを救う」という信念を持ち続け、チームとともに最前線で戦っていたことを強く覚えています。
人間ドックは自分への最高の投資
『快楽寿命』というミッションの一翼を担っていく
人間ドックは実は感染症とも深く関わっているんですね。予防はとても大切です。どんなに裕福な方でも社会的に重要な立場の方でも病気になる可能性は誰にでもあります。そして、健康があってこそ充実した生活が送れるのです。だからこそ、人間ドックは「自分自身への最高の投資」だと思います。病気の早期発見はとても重要で、早期に見つかれば、治療の負担も軽くなります。健康を守るために、ぜひ多くの方に人間ドックを受けていただきたいですね。
「顧問医」という概念は、これまであまり馴染みのないものでしたが、とても素晴らしい取り組みだと感じています。気軽に相談できるドクターが身近にいることで、日々のちょっとした不安も解消され、大きな安心感につながりますよね。
また、TOKYO FUTURE CLINICは「健康寿命」をさらに一歩進めた「快楽寿命」を大切にするというミッションを掲げており、「未病」を未病のまま終わらせるという考え方は、非常に魅力的だと思います。
とはいえ、どれだけ予防に力を入れても、病気を完全に防ぐことは難しい場合もあります。そのため、万が一の時に安心して医療を享受できるような医療機関と提携するということが、会員の皆様にとって真の安心感につながると思いますね。私も、皆様が常に安心感を得られるようなクリニックの運営に貢献できればと思っております。
TOKYO FUTURE CLINICには国際的な会員様が多くいらっしゃると伺っています。私自身、英語だけでなく中国語も多少話せますので、日本語圏以外の方も気軽にご相談いただければと思います。
何より、このクリニックには奥仲院長をはじめ、各分野のプロフェッショナルな医師が揃っています。そのような素晴らしい医師陣と共に、皆様お一人お一人が健康面で安心して生活を送っていただけるよう全力でお手伝いをしていきたいと考えております。